「寝て起きても体がだるい」倦怠感の4つのタイプを解説 ①
普段からだるさに悩まされている方がいます。
だるさは、痛みと同じくらい日常生活に支障の出る不快な症状ですが、病院では対処しづらい症状で、貧血や糖尿病など何か病気が見つかれば治療が始まりますが、検査では異常がないことも多くお医者さんも打つ手がないと言う場合が多いようです。
だるさは東洋医学的には、①体力が不足したためにだるいタイプと、②循環不良のためにだるいタイプとに大別されます。
①の体力不足タイプは、動くとだるく休むと回復する傾向がありますが、②の循環不良タイプは動かないでいるとだるさが強く、動くとむしろ楽になるという傾向があります。
動くことで循環が良くなりだるさがやわらぐのです。
だるさを東洋医学で治療するときには、①のタイプはどのような体力が不足しているのか、②のタイプは循環不良の原因はなにかを明らかにしたうえで鍼やマッサージで治療を行いますが、今回は①の体力不足タイプのうち、代表的な2つについて症状の特徴や生活上の注意をを紹介したいと思います。
目次
体力不足が原因でおこるだるさの、よくある2つのタイプ
体力不足タイプのだるさは、東洋医学的には気の不足が目立つタイプと血(けつ)の消耗が目立つタイプに大別されます。
気の不足とは、心身を動かすエネルギーが足りない状態で、自動車に例えるならエンジンの力が弱くなった状態に似ています。
パワー不足のために何をやるのも大変といった状態です。
一方、血の消耗した状態とは、自動車に例えるならばエンジンオイルが足りない状態に似ており、目や筋肉など体のあちこちが潤されなくなった状態とも言えます。
一時的にパワーは出ますが、長続きしない状態とも言えます。
1 気の不足しただるさ
しっかり睡眠をとっても朝からだるい、朝おきられない、動くとすぐに疲れる、声に張りがなく小さいなどの特徴があり、息切れや動悸がする方も多く見られます。
戦後の食糧難の時代には、栄養不足から気が不足することが多く、肉や卵など滋養のあるものを食べることでだるさは解消されました。
現代では食糧事情が良くなったために、栄養不足から気虚になる方は偏食や極端なダイエットをしている方以外にはほぼおらず、胃腸の消化吸収能力が弱いために、栄養をとっても気が十分に産生されずに不足するという方が多いようです。
このような方は比較的食が細く、軟便傾向の場合が多く、食後に眠くなったりお腹が張る方もいます。
このような方には、胃腸の調子を整えるツボや気の産生能力を高めるツボを中心に治療をさせていただきます。
食欲が増し軟便が改善されると、だるさが解消され朝起きることが苦にならなくなります。
声にもハリが出て周囲の人に「元気になったね」と言われるようになります。
気虚タイプの方は、一般的に甘いものを好みます。
これは、砂糖は瞬間的に血糖値を上げてくれるために、体が甘いものを欲することと関係があります。
しかし、日常的に砂糖を多く摂取すると血糖値が不安定になり、ビタミンなどの微量栄養素も枯渇し、ますます気虚がひどくなります。
このような方は、甘い物のとり過ぎに注意し、お米をしっかり食べることが大切です。
2 血(けつ)の消耗しただるさ
疲れているのに寝付けない、朝早く目が覚めてしまう、元気はあるがすぐに疲れてだるくなる、疲れ目・かすみ目・乾き目などの症状があり、肌荒れや乾燥肌が気になる方もいます。
東洋医学でいう血(けつ)は、現代医学の血液よりも広い範囲の生理作用を含む概念なため、血の消耗している方が必ずしも貧血を伴うわけではありませんが、貧血が見られる方も多くいます。
血は目や筋肉や皮膚を潤し、精神作用を支える基礎物質ですので、スマホやパソコンの過度の使用や、神経を使う仕事や頭脳労働などで消耗が起きやすくなります。
また、女性は月経で定期的に出血が起こるために男性に比べて血(けつ)の消耗が起きやすくなります。
血(けつ)は気と同様に、飲食物が胃腸で消化吸収されて作られますので、胃腸虚弱や食事の乱れが原因で血の生成が少なく消耗がおきることもあります。
また血(けつ)は睡眠中に回復しますので、睡眠不足が続くと慢性的な血(けつ)の消耗が置きます。
睡眠不足で血(けつ)が消耗し、消耗したためにますます寝られなくなるという悪循環に陥ることもあります。
特にスマホを見て夜ふかしをすると、スマホを見ることで血(けつ)が消耗し、睡眠が不足することで血(けつ)の回復がさまたげられるという二重の負担がかかります。
血(けつ)の消耗で貧血を伴う方は、鉄剤の服用である程度消耗が改善されますが、服用をやめると再び元の状態に戻りがちです。
東洋医学でこのタイプの方のだるさを治療するには、胃腸の機能の乱れがある場合は胃腸の調節をツボでおこない、睡眠に問題のある方には不眠の改善をツボでおこなうとともに、血(けつ)の産生能力を高めるツボにも治療を行います。
ツボを使った治療を続けると、よく眠れるようになり、目の乾きやかすみも楽になり、体も疲れづらくなります。
体力不足によるだるさにお悩みの方は、気の不足が中心の方も、血(けつ)の不足が中心の方も、偏食や夜ふかしなど生活習慣の乱れが原因の場合は、生活習慣を整えることで多少時間はかかりますが、慢性的なだるさは改善します。
しかし胃腸虚弱や睡眠障害など、気や血の消耗の原因となるなんらかの症状があるかたや、体質的な問題で昔からずっと疲れやすかったという人は、ツボを使った東洋医学の治療がだるさを改善する一番の早道になります。
お困りの方はぜひご相談ください。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事の著者
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【資格】あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師
「誰にでもその人の中に自分を癒やす力がある」という理念のもと、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・心理セラピストとして27年以上、4,000名以上の方の心身のケアを行っている。
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